春を迎えに邊山半島へ...   -   기행문 [紀行文]



全羅北道一帶を旅したのは気の遠くなるような昔のことだったので、今度
その変容ぶりに驚愕したものだが、それにしても人影などゼロに等しく
高速道路も案外空いていて、やっぱり全羅道は見放されているのかと少し胸が痛んだ。
昨年全羅南道を旅した連中とほぼ同じ顔触れで、2名が新たに加わっただけ、
幼なじみだから気も楽で、ゆったりと旅を楽しむことができた。

なにも急ぐことはなく、それに遠くから地下鉄、バスを乗り換えて来る友もあるので
9時半に出発、20人乗りバスに18名が乗るといっぱいになり、座席が窮屈だったが
隣りとおしゃべりしたり窓外の春景色を眺めたりしながら気を紛らす。
昼食に蛤焼きとあさり入り粥を食べ、午後から観光。まずドルメン公園へ。
昨年見た全羅南道のドルメン公園より規模はずっと小さかったが、それでも
きれいに手入れされていた。ほとんどが自然巖石で蓋をなした支石墓で、
小さな石7~8個で支えている碁盤形は南方式だそうな。


今度のスケジュールには時代劇を撮った映画撮影所三カ所を観ることになっていたが
最初に訪れた処が'石佛山映像ランド'で、山の麓に倭館通りや三道水軍統制營の
セット場。ドラマ'不滅の李舜臣'のロケ場所で、以前面白く視聽したドラマだけに
興味深くあちこちを覗き回る。

 

世界最長を誇る長さ33.479kmのセマングム防潮堤を見に行った。この干拓事業は
膨大なる規模で、 環境團體や現地住民より反発も大きかったが、今年中に防潮堤を完成し
2020年まで大規模優良農地, 臨海工團, 國際貿易港, 觀光團地などを造成するという。
あの限りない海が埋め立てられるのかと驚きながら、強い風のなかでデジカメの
シャッターを切るのに苦心した。




初日の日程を終え夕食前に国内最初といわれる海岸温泉へ入り疲れをほぐす。
一行が泊る邊山大明コンドミニアムは宣伝通り真新しいゴージャスな造りだった。
外観はいまいちだったが、ルームはホテル顔負けで、設備も完璧な最新式、
5名づつ割り当てられ中にはいるや、窓越しに西海がぱあっと広がり、
わあ、すごい!と一斉に声を上げた。


さて、大きな部屋に3名が入り、私は残りの一人と小部屋で寝ることになったが、
どれくらい眠ったのだろう、凄まじい轟音に目を覚ました。隣りの部屋から間断無く
続く猛烈な鼾。たまりかねて居間に出ると、一人が寝床を持ち出して床に敷き、
小さな声で佛經を唱えている。時計を見ると3時を少し回っていた。
'あんなに鼾かくの変じゃない? 揺すってみようか?'と私が小声で言うと
'ほっといて。体の調子がおかしいと薬飲んだせいだと思う。私もう起きたから'
私も眠気が吹っ飛んでしまい、しばらくぼそぼそとおしゃべりをしていたら音が小さく
なったので部屋に戻ると、いやはや今度は側の友が鋭い音を出し始めるのだった。
仕方なくmp3 playerを出し、earphoneをきつく耳の穴に押し込んだ。。。


次の朝、赤壁江と彩石江の美しさを観賞して、もう一つの李舜臣撮影所を訪れる。
こちらは全羅左水營の建物すべてがセットされており、友人たちとはしやぎながら
写真を撮った。

以前から気になっていた来蘇寺では全北文化財管理局女職員の親切な案内を受けた。
逸話などを混ぜて実に面白おかしく説明する。全羅道方言も親しみを与えてくれ、
笑い声を上げながら耳を傾けた。以前、民俗紋様のところに
'歳月を自然に受け入れた、古風な味が保っている來蘇寺大雄寶殿の花紋様扉も
精巧さでは引けを取らない。寺刹を代表する花は蓮だが、菊と見える紋樣が
混じっているのが珍しい. 'と扉の紋様について述べたことがあるが、実物を直に
観られる機会に恵まれ至福だった。


     
金丘苑彫刻公園を訪れる。彫刻家キムオソンの作品を展示したこじんまりした公園だが
面白いのは作品すべてが女体、さまざまなポーズを取ったきれいな裸婦像が青空の下で
特に冴えて見えた。事務室と見える建物の前に置かれた、花をいっぱいつけた盆栽の梅鉢が
ちょっと異色的に映った。






そして一番壓卷だったのが西海に沈む太陽を眺めたこと。おもちゃのような小さな松島の
後ろに静々と消え行くオレンジ色の太陽、なんと莊嚴なビューだろう!思わず合掌しながら
生きていることに感謝した。


全羅道名物の塩辛9種類を味わう昼食は塩っぱくてやたらとご飯をかきこむ。
それでなくとも日に三度きちんとご飯を食べているのが異様と思ったのか胃が
デモンストレーションをし始めたので、さっそく持参のパンシロンを飲み
腹をなだめた。

禅雲寺は禅雲山道立公園の中に構えており、入り口から結構道程があった。
ここも65歳以上はただと言うので入り口でチケットを受け取る中年の男性に
住民証を見せようとしたら、顔が住民証ですからそのまま入りなさい、と
言う。正解だけれども聞いてる側としてはなぜか気持悪い。
実際一行のうち一人は初めから杖を持参、二人は林の中で折れた枝を拾って
杖がわりにしてたから体型だけでも住民証になるわけだ。

この寺は参千余樹の椿林が開花する4月末が絶好の訪問時期だとか。
奥の兜率庵までは老女らには無理と判断、仏教徒達が仏様に礼拝する間
残りは境内を歩きまわったが、空を覆う釋迦誕辰日祝賀用提灯吊りが
目障りだった。まだまだ日日が残っているのになんと気の早い坊さん達だろう。






帰りのバスで運転手がカラオケでもと勧めたがみんな頭を振り、いつの間に
こくりこくりと船を漕ぐ。乗り物の中で眠れない私は、mp3playerで
オールドポップを聴きながら時間を持て余した。。。