葦の湖にかかった富士山 - 기행문 [紀行文]
新宿驛に向ったが, 怒濤のように流れる出勤人波に出會い, しばらく片隅に釘付けされて
しまった.
朝食用にクロワッサンとコ-ヒ-を買い, 小田原行き電車に乘った.
空いている席に腰をおろし,あたりを見廻すとなんだか樣子がおかしい.
ヒヨコのようなチビ等と若い母が次次と乘りこむのだ.
電車が江の島行きである事を知った時は, すでに車が動き出した後, 分秒を刻む日本の
交通システムを呪いながら, とにかく乘り換えれる所まで行こうと腹を決めた.
やがて大船で下り, JR線切符を新たに買い求める. よけいな支出が惜しかったが,
あわてんぼうに與えた罰だと諦め, 汽車を待つ間ベンチに坐り持參の朝食をひろげた.
箱根フリ-パスを求めたので,乘物を換える度にチケットを買う煩わしさから逃れられ,
また他人より一步早く乘れるから, 氣にいった座席に坐れた.
ジグザグに昇る登山鐵道も面白かったが, 早雲山までのケ-ブルカ-は,
つつじがさき亂れた山なみをくぐりぬけるので, 春の薰りにじっくり醉うことができた.
その中でも壓卷だったのはロ-プウェイを利用して大湧谷まで行くこと.
8名定員の小さな箱に入って, 山の頂上まで45度傾斜を昇るわけだが,
はるか遠くの山麓を見おろすと足もとから力が拔け,目がくらむ.
私は乙女心に戾った.
大湧谷で中食にてんぷらうどんを取った後, 再びロ-プウェイで湖岸へ降りた.
船着場の最寄りに構えた成川美術館はこじんまりした建物だが, 展示された
近代日本畵家の繪は見應えがあり, 花にうずもれた庭に立つと,船で眺めた湖とは
違う表情をした葦の湖が目前にひろがっていた.
タクシ-の運ちゃんが知らないと言うくらいだからまったく話にならない.
とは言え, 優しく迎えてくれる年配の主人の態度は氣持良かった.
夕飯を取るため宿を出たついでに神社をのぞき,湖のほとりの小道を散步する.
まだ6時になったばかりなのに, すべての食堂がのれんを外しており, あたりは荒凉と
していた. しばらく彷徨っているうちに,[アラディン]という名のしゃれた
レストランを見付けた.
fireplaceがあり,グランドピアノも置いて居るホ-ルに, 若い一組の戀人らしき男女が
キャンドルをはさんで向い合っていた.
私達は窓際の席に坐った. その時, 湖のかなたに夕陽を浴びた富士山が現れたのだ!
ああ, 自然の神秘, 尊嚴, それにこの素晴しさ! 私は死んでも良いと思う程至福だった.
翌朝, 食堂へ入ると, 何と西洋人ばかりが大きな食卓を圍んで居る.
獨逸人夫婦と英國靑年,ベルギ-のお婆ちゃんといったメンバ-と食事を共にする
はめになった. まるでアガサクリスティの推理小說のひとこまだ.
互いに日本のあちこちを步き廻った話を交しつつ, 和氣靄靄と食事をするのだが,
私のカタコト英語では,中間入りなど以ての外で, ただ默默と食事をするしかない.
バスで湯本驛まで行く間, 曲りくねった山道を樂しむ.
今度の箱根旅行は天氣までついていて,申し分ない旅であった.
驛の近くに河童天國という露天溫泉があった. 時間が早いからだろうか, 老婆一人だけが
ちょこんと湯に浸っている. 輕く目禮し,反對側のずっと離れた所に坐った.
適當な溫度で,體を沈め顔だけを出して居ると,山から吹いて來るそよ風がそっと
ほほをなでて通り過ぎる. 時の流れを1時間だけ止めれたらどんなに嬉しいだろう.
目をつむって, 私は小さく鼻歌を唄った. ( 1993/5 )
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