春の京都旅行
娘が「親の日」のお土産としてプランを立てたのが京都旅行、ホテル予約から航空便、
列車の予約まで一人で行い、三泊四日の楽しい日本旅行を二人で無事に済ませた。
どうしたわけか去年の秋の広島旅まで何の苦も無く独りで全部行ったものだが、今度は
まるで日本旅行初めてのように黙々と娘の後ろへ付きっきりだった。十五年前、娘と
京都旅をしたはずが日本もその間発展したわけだろうか全然何も浮かばないのには
唖然とした。
世の中便利になったもので、エアチケットもホテル料金も汽車賃まで娘が予め
ネットで払い済ませたので、私は必要な時二言三言しゃべれば事足りた。
JR湖西線に乗り換えて御琴温泉に着くと雨がしとしと降っていた。予約した「琵琶湖
緑水亭ホテル」へ電話をかけるとすぐ迎えの車が来てくれ難なく到着チェックインした。
日が暮れかけていたのでひとまず琵琶湖はルームで眺め、温泉で疲れを落した後
清々した気分で夕食の日本料理を楽しむ。
琵琶湖が見たくて組んだスケジュールだけに近くで眺めなくては、と朝飯の後散歩
がてらそこらへんを歩き回りつつたっぷり湖を楽しんで十時にチェックアウト。
有難いことにホテルでトランクを京都駅近くの預り所まで送ってくれるとのことで、
手ぶらで次の目標地「延暦寺」へ向う事が出来た。
坂本駅よりケーブルカーで延暦寺駅まで登る間の見事なビュー!果てしなく続く青々と
繁った森の間を登る車の中で見惚れている間に山上へ着いた。入り口で諸堂巡拜券を
買って入ったが, 国宝根本中堂は大改修中で薄暗く足下もよく見えない。
危なくて娘をしっかり掴み廊下を廻るが、仏様はおろか眼に入る寺物がほとんど無いので
いらいらしつつ一回りし、外へ出てしまった。貰ったパンフレッドには東塔, 西塔, 橫川等
いろんな見所が示されていたが、体調のすぐれない私は山道歩くのを諦めるしかない。
東塔の前で巡還バスに乗り, 「ガーデンミュージアム、比叡」へ向った。
入り口から気持が華やかになる。彩りの花壇が迎てくれ小道を辿り上へ登ると、はるか
遠くに琵琶湖が見えた。延暦寺で物足りなかった気持がすっと消え、二人は腕を組んで
花道を歩いた。
琵琶湖が見える所で写真を撮っていると、側ではしゃいでいた若者達のひとりが近寄って
来て「撮ってあげましょうか」と微笑む。母娘は喜んで腕を組み琵琶湖を背景にして撮って
貰った。
少し歩くと「カフェ・ド・パリ」が目についた。入って昼食にハンバーグステーキを取り
コーヒーまで飲みつつ春の花ガーデンを満喫した。
京都ホテルまでのバスドライブウェイは素晴らしかった。眼を離さず窓外を眺めていると
京都駅に着いた。私達は向い側のビル二階へ上がってトランクを受け取り、地下鉄を
利用して予約したホテルへ辿り着いた。
次の日は天竜寺観光と京都繁華街歩き。娘が調べておいたので容易く天竜寺まで行ったが
なんと人出の多いこと!男女中高生の団体から世界各国旅行者まで道路が埋まるほどだ。
入り口で料金を払い人の群に続いて歩き廻るが、佛敎信者でもない二人にはさほど感銘を
与えてくれる見物がない。写真も撮らず人の後ろに続いて歩き、疲れると座る場所を
探した。思い出の母娘写真を撮って貰おうとお願いした紳士が韓国人だったのでびっくり
したっけ。
午後は繁華街歩きをしようと、まず京都最大繁華街だとの四条河原町でバスを降りた。
大手百貨店から商店街まで軒を連ね、様々な品物売り場が限りなく続く。まず適当な店で
昼食を取り、縦横に繋がる様々な売り場を覗き歩いたら、腰が曲がるほど疲れはてた。
娘が二階の百円古本ショップを見つけ勝手に五冊を択んで買い、にっと笑う。歩く
ついでに鴨川まで覗いてからホテルへ戻ると午後六時、ひとまず疲れを癒そうと浴場へ
降りたら誰もいないのでこれ幸いと熱湯に浸かって手足を振り回しつつ元気を取り戻す。
これで京都旅はザ・エンド! 明日の航空便は午後三時半なので、ゆっくり休むことが
出来ると言いつつテレビを付け、ゲームなどを眺めながら荷造りを済ませた。