九月の都都逸
あ・ま・く・さ(天草)9/1
青い秋空 まぶしい日差し 空気きれいで 爽やかで
足が痺れる またかと嘆き 靴を脱ぐ母 寂しそう
赤い唇 睫毛も長い 黒い瞳が 冴えていて
荒い波越え 間もなく着くぞ 国へ帰った 叫ぶ人
お・は・や・し(お囃子)9/6
お国どうなる はっきり云えよ やがてつぶやく 知るもんか
遅く帰って 早々つまむ 焼いた草餅 シロップ付け
押えきれない 話も出来ず 闇で静かに 忍び泣く
老いたもんだと 初めて知った やつれ顔には 皴だらけ
ほ・う・さ・く (豊作) 9/11
星がちらほら うっとり仰ぐ さっとそよ風 雲流れ
本を受取り 嬉しさあまり サンキュウ言って 口付けし
頬を赤らめ 頷く彼女 誘い成功 苦労した
誉めてやろうと 後ろへ回り さらり抱くや クク笑う
け・い・ろ・う (敬老) 9/16
景色優れて いつまで見てた ローマ浮かべる うっとりと
ケーキ受取り いい気になって 蝋燭灯すや 浮き浮きし
結構易くて 一度に覚え ロシア民謡 歌い出す
煙吐き出す 意地悪親父 炉端せしめて 疎まれる
あ・き・な・す(秋茄子)9/21
開けた小窓に きれいな月が 中を覗いて 過ぎ通る
秋が訪れ 気持も晴れて 波を見に行く 涼しい日
兄に訊いたら 昨日の事だ 何度言わせる 凄い声
呆れ果てたよ 君等のしぐさ 涙見せても 済ませぬぞ
し・そ・の・み (紫蘇の実)9/26
下で仰いだ 聳えた大木 野原いっぱい 緑の葉
知らんぷりして 側まで来ては のほほん笑って 見つけたぞ
叱り飛ばすと そ知らぬふりし のっそり出て行く 妙なやつ
死相見つめて その場に倒れ 喉を詰まらせ 身もだえし