關西ひとり步き....

最近，ともすると年齡を持ち出しますが, ふだん忘れて過した自分の歲を今度の旅行ほど
痛く感じたことはありませんでした.
初めての獨り旅でもないのに，何故か胸がどきどきし, 言葉も思うように口から出ず，
失敗を繰り返すのには參りました. もう見知らぬ町へ一人で出かけるような眞似は
出來ない歲になったものだとつくづく思いました.
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十月 十五日
午前の團體觀光には不參することに決め, 會員達と別れを惜んだ後，
動き出すバスに手を振ると, ホテルに戾って暫く橫になりました．何と言っても
三名一緖の部屋ではなにかと神經を磨り減したもので...

まず四天王寺を訪ずれることにし，フロントで貰った地圖とにらめっこをしつつ,
天王寺驛で降りましたが，方向音癡の私にはさっぱり勝手が分りません．
若くてハンサムな男性を選らび, 三度も道を尋ねたあげく, ようやく鳥居を見つけた
時には, もう足が棒のようになってしまいました.
午前だからでしょうか，人もまばらで, 靜かな境內は鳩の遊び場になって居ました.

大樹の下に腰を下し，ふくらはぎをマッサ－ジしながら，
聖德太子が建立されたと言われる, 日本佛法最初の官寺を眺めます. 立派な五重塔を
見上げ，金堂, 講堂へも入って見ました．國に依って佛の顔や表情が少しずつ
違いますが，講堂の阿彌陀佛像は, わが國の如來のような微笑をたたえており，私に
親密感を與えてくれました. 訪ずれて良かったと思いながら, 初年者のデジカメが
無闇やたらとシャッタ－を切ります．

この歲になっても一人で食堂へ入るのを憚る私は，食べたいものがいっぱい有るにも
かかわらず，容易く店の扉を開けられませんでした．さんざん迷ったあげく, おそる
おそる鰻屋のドアをおしました．カウンタ－に案內され，鰻 を注文すると，マダムの
說明がややこしい. 聞き返してやっと納得し，今日のサ－ビスとして50円割り引き
すると言う '上うなどん'とやらに決めましたが，すごく美味しかったので大滿足です.

それから心齋橋に行きましたが，行き交う若者の衣裳が變った他は, 十年前訪ずれた時と
ほぼ同じ雰圍氣でした．娘が賴んだ腕時計のバンドを探したが見當らず，そこらへんの
カフェでコ－ヒ－とチ－ズケ－キを食べながら， ひと休みしましたけど，こんなに
くたびれては，もう獨り旅などよしたほうが良さそうだと, 自分に言い聞かせたものです．

十月 十六日

しかし，一人旅でも，翌日の半日神戶市內觀光ツア－は, ずっと氣樂なものでした.
豫め豫約しておいたせいか，一番前の坐席を宛がわれたので，前面の廣い窓を通して
神戶市を眺めながら, ガイド孃の詳しい說明に耳を傾けることが出來ました.  
左手に見えるのが異人館の一つ，風見鷄の館で，ドイツ人貿易商ト－マス氏が建てたとか，
右側に見えるのがオリックス.ブル－ウェ－ブのホ－ムグラウンドの總合運動公園だが,
イチロ－無き現在のチ－ムには，名前を覺えてる選手が一人も居ないとか...
實によくしゃべる案內孃でした.
神戶地震が發生して今年がちょうど10年目だそうです．再建された町の樣子からは，
悽まじかったあの日の痕迹など，かいま見ることも出來ませんでした.

世界最長の吊橋という明石海峽大橋を渡ると淡路島, 橋は釜山の廣安大橋と
似かよってましたが， すごく美しいシルエットを成していました.
大橋を渡り，淡路ハイウェイ.オアシス公園で休憩です.
私は，溫室を連想させる館內の「アトリウム」でアイスクリ－ムをほおばりながら，
花とみどりを樂しみました.    

最後のコ－スは海邊のポ－トピアホテルで中食，8階の中國レストランで申し分のない
料理をいただきました. 觀光團體の食事はあてにならないものと思いこんでましたが，
期待以上でちょっと驚きました．

庭園で結婚式を擧げた新郞新婦が, 家族や友人と記念寫眞を撮って居ました．
私は, そのにぎやかな光景を眺めながら, ゆっくりと中國料理を味わったものです.